独立開業に必要な資質とは
「はっきり言って、日本は独立開業に向いた国ではありません。建国以来「フロンティア・スピリット」を人生観の底流として保持しているアメリカなどと比較すると、日本の独立・開業をめぐる環境はまだまだ未熟です。もともと日本はムラ社会の国で、集団力で強みを見せてきた国だからです。
ではどういうところが独立開業に向いていないのでしょうか。ひとつにはビジネスに対する基礎教育、また経営者を輩出するための専門教育、さらにはすぐれたアイデア、激しい情熱を持つ起業家に対するサポート環境、そしてそのようなベンチャー企業に対する社会の目、そういったものがたちおくれていると言わざるを得ません。「サラリーマンになるのが普通の人」という都市部の社会的常識も、独立開業を目指している人たちの足を引っ張っています。
とはいうものの、このような環境の中から、今日も新しいベンチャー企業が生まれていきます。環境が整うのを待っていては、いつまで経っても独立・開業はかないませんし、逆境だからこそファイトが湧く、という頼もしい起業家が続々と社会に挑戦していくからです。
「では日本で独立開業するために必要な資質とはどのようなものでしょうか。以下に列挙してみましょう。
(1)独立へのやる気と情熱
(2)独自のビジネステーマ
(3)あなたの売り物
(1)の「やる気と情熱」ですが、「そんなもの、当たり前だろう」と思っていませんか? 確かに「これから独立しよう」と鼻息を荒くしている人たちは一様に、やる気と情熱を持っています。しかし、それがどのくらいの覚悟なのか、そこが問題です。周囲のすべてが反対に回っても、粘り強く説得して賛同してもらえるか、半年、1年経ってもなかなか芽が出なかった場合、自分を信じて待ち続けることができるか。その覚悟の強さが、あなたの精神的な資本金といえます。
(2)は、すぐにはピンとこないかもしれません。しかしこれが大事なポイントですから、しっかり考えてください。これは簡単に言えば「あなたの商売はどんな商売?」ということです。それがありきたりの、ライバルがたくさんいるものであれば、あなたのビジネスは前途多難かもしれません。でも、それがユニークで珍しく、希少価値があるものだったら。もしかして世界にたったひとつのオンリーワン・ビジネスだったら。お客さんさえ見つけられれば、競争相手の心配をする必要はなくなります。
(3)は(2)と似ているようですが、違います。今度はあなた自身のことです。あなたは何が得意でしょう。パソコンを使った経理はお手のものですか? インターネットのホームページが簡単に作れますか? プロ顔負けの写真が撮れますか? ビジネスレターを何も見ないでさくさく書き上げることができますか? そういった、あなたの特技、得意技を棚卸ししておくことが、独立開業に当たっては必要になります。得意なことは自分でやり、不得意なことは誰かにやってもらわなければならないからです。