日本人にはFCが向いている
日本にさまざまなFC(フランチャイズチェーン)が根づき、成功している理由は、日本人の精神的な特徴にFCが合っているからだと考えることができます。日本は島国で、アジア人特有のムラ社会を形成しているため、まったく自由に仕事をするよりも、ある程度の枠が決められていたほうが能力を発揮する人が多いのです。
とくに脱サラで独立する人の場合は、サラリーマン時代の習慣がなかなか抜けないので、100%自分で決めてビジネスを進めるというのがなかなかうまくいきません。むしろFCのような、ルールやノウハウがあらかじめ用意されていたほうが安心できるようです。
また、FCでビジネスを学び、その業界のことをよく知ってから本格独立して成功したというケースも少なくありません。たとえばワタミがつぼ八の加盟店からスタートしたのは、よく知られた話です。
最近目につくようになってきたのは、マルチ・フランチャイジーというスタイルです。これはひとつの企業が複数のフランチャイズに加盟して、一定のエリアで多角的なビジネスを展開するもので、大企業化を望まない加盟店が持続的な成長をするためのひとつの方法です。
日本人はものづくりの面において、「カイゼン」という日本語で知られる品質向上のための工夫を追求しました。日本人は「これをもっと良いものにしよう」といった仕事が得意なのです。それがFCにおいても発揮された例が、コンビニエンスストアです。アメリカのセブン-イレブンにトイレを借りに立ち寄った日本人が、たちまち本家を上回るビジネスに磨き上げ、数年後にはアメリカの本部を飲み込んだという話は、みなさんもよくご存じでしょう。
「自分はどうしてもこの仕事をやりたい。そのために独立するのだ!」というように、やりたいこと、目指すものが具体的に明確になっている人は自力で独立したほうがいいかもしれませんが、「独立しよう!」という意思だけで、まだ何をやったらいいかが絞りきれていない人は、FCという選択肢も考慮に入れるといいでしょう。