独立開業の落とし穴
本稿の最初に「日本は独立開業に向いた国ではありません」と申し上げたのは、次のような理由からです。
・初等教育でビジネスの基礎知識を教えない
・創業者がすべてのリスクを負ってスタートする
・失敗するとなかなか再起できない
・独立自営よりサラリーマンが偉いという社会的風潮
・急成長したベンチャー社長を白い目で見る社会的風潮
・起業をハイリスクハイリターンととらえる誤解
これらの理由は日本社会の特徴に根ざしたものが多いため、一朝一夕には変えられません。したがって、これから独立開業を目指す人たちは、上記のようなハンディキャップを良く認識しておく必要があります。
しかし「一寸先は闇」というのがビジネスの世界です。東日本大震災以来、「想定外」という言葉が流行しましたが、親方日の丸でない企業で大きな想定外が発生すると、すぐに倒産の危機に直面します。
では、独立開業直後のスタートアップ企業には、どのような落とし穴が待ち受けているのでしょうか。それを知るための興味深いデータがあります。それは国民生活金融公庫総合研究所が発表している「2度目の開業に関する実態調査」の中にある、「2度目の開業者が生かしている経験」です。ちょっと見てみましょう。
・経営危機への備え 41.9%
・長期的視野に立った経営 35.2%
・顧客開拓・マーケティング 35.2%
・商品・サービスの企画・開発 32.4%
・コストの削減 25.7%
・財務管理・経理処理 23.5%
・従業員の育成 14.0%
・顧客管理の徹底 13.4%
・資金調達手段の多様化 12.8%
・現場管理 7.8%
・従業員の確保 7.8%
このランキングの順序が、かつて廃業の憂き目に遭った経営者たちが、「もう失敗しないぞ」と身を引き締めているポイントになります。ぜひ参考にすべきです。