FCという選択
世の中には、「フランチャイズ」と聞くと、すぐに「悪徳商法」を思い浮かべる人がいます。脱サラ独立を目指す人を狙い撃ちにする「フランチャイズまがい」の犯罪者が、大切な退職金や独立資金をだまして取りあげたニュースが記憶にあるからです。
しかし、当然のことですが、悪いイメージを植えつけている存在は、全体のごく一部でしかありません。今日のコンビニや外食産業の興隆は、フランチャイズの制度なくしては考えらないほどです。
フランチャイズチェーン、略称FCは、南北戦争の終わったころのアメリカで、シンガーミシンが始めたビジネス形態が最初であるといわれています。つまり、約150年の歴史があるわけで、発祥地であるアメリカには現在、3000から5000のFCが存在するといわれています。
日本では1963年、不二家とダスキンがそれぞれフランチャイズ1号店をオープンさせた年を「フランチャイズ元年」としています。それから50年の間に、1286チェーン、24万5263店、売上規模22兆2286億円のビジネス形態に成長してきました(2012年度「JFAフランチャイズチェーン統計調査」より)。
フランチャイズの定義は、先にも触れたように本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)とが契約を結び、本部の提供するブランドとノウハウを用いて、同一のイメージでビジネスを行うというものです。加盟店は見返りとして加盟金その他の料金を支払うほか、一定もしくは売上金に比例したロイヤルティを本部に支払います。
本部が提供するのはどのようなものか、加盟店の支払う料金体系はどうなっているかなどは、業種や業態によって大きく異なります。このあたりは、日本フランチャイズチェーン協会(http://www.jfa-fc.or.jp)の各種情報を参照したり、興味を持ったFC本部に資料請求したりして、納得いくまで調べてください。
お役所や民間の独立支援団体に独立の相談に行くと、「フランチャイズは検討しましたか?」とよく聞かれます。その理由は、独立経験のない人の場合、フランチャイズに加盟して独立した人のほうが、自力で独立するよりも成功率が高いといわれるからです。開業3年後の事業生存率を「自力1割、FC6割」と言っている人もいます。
なぜそうなるのでしょうか。その理由は、FCが本部の指導とノウハウのもとに開業することにあります。たとえば飲食業や小売業の場合、店舗立地の取得と内装、日常の仕入れなどがキーポイントになりますが、FCならそれを本部主導で、つまりプロの手で進めることができるのです。
ずぶの素人が不動産屋を訪ね歩いて店舗を探し回るのと、本部の専門家がネットワークを使って探すのでは、おのずと効率が違います。そして、自分の事業に適した場所であるかどうかを判断する目も違います。さらに、自力で店舗設計をするのと、すでに繁盛しているお店と同じ内外装でお店を作るのでは、費用と効果に大きな差が出ます。
そのうえ、仕入れのコストが、個店とチェーンではまるで違ってきます。日常の営業も、自力の場合は独力ですが、FCなら本部のアドバイスが受けられます。